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遠方でも思いは通じる

この庭は、福井県で造りました。お客様は、地元の造園業者や建築家に設計を依頼されたのですが、満足な提案がなされず、主婦の友社の本とホームページを通して、私たちと出合うことができました。遠方なのに何故私たちに声を掛けられたのかと初めは思いましたが、お会いして話をしている内に、その理由がよく解りました。
大変意識が高く、思いのはっきりしたお客様だったのです。このぎっしり書かれたリクエストリストがすべてを物語っています。
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Theme - テーマ -
広いウッドデッキと高い板塀を造って、外部からの人目を気にせずに、外でのいろいろな生活を楽しめる外の部屋を造りたい。それと同時に部屋の中から、それらがどう見え、どう眺められるかを十分考える。全体的な色は黒と白を基調とし、雰囲気は家に合った和のイメージにモダンさと、アジアンなイメージを一部取り込んだものにする。
![]() 完成時 | ![]() 工事前 |
囲い

外部からの目隠しとして、道路面から2m高の板塀を、現場施工で造りました。敷地の角には、塗り壁の部分を造ったり、玄関の脇近くには大きな板石を3枚建て石塀にして、塀が単調なモノにならないよう工夫しました。また、この部分は他の楽しみ方も出来るよう仕掛けがしてあります。
潜り戸を開けると水の景

お客様の要望で、玄関横に潜り戸を付けました。その扉を開けて一歩中に入ると、板石を使った水の景があります。割面と切り面の板石、ステンレスの筧、古い臼の水鉢でこの景は造られています。沓脱石に足を置き、内デッキに座って聞く水の音は格別で、特に夜、水中ライトで照らされた石の肌はとても素敵です。
デッキと内デッキ

軒下の内デッキから1段落ちで広いデッキのスペースが広がっています。素足で部屋からスムーズに出入りできる素敵な外の大広間ができました。デッキから廻りの山並みを借景として楽しめます。
パビリオン1

この広いデッキは、オープンパビリオンとも一体となっています。直線とアール面で囲われた白壁は、外部からの目隠しにもなって、落ち着ける空間になりました。壁にはバリのホワイトストーンで出来たレリーフを埋め込んだり、竹を編んだ下地窓もあって、低めで幅広い椅子に寝転びながら、和とアジアンな雰囲気を楽しむことが出来ます。
パビリオン2

廃屋の屋根組のような丸太の木組みによって、庭全体に立体感とくつろぎ感が出ました。ターフを架ければ夏の日差しと隣地を高い目線を遮ることが出来ます。芯柱ともう1本の柱に丸太の梁を架けてブランコを吊るしました。このブランコは金具で取り外しも出来、籐のカゴも吊るせるようになっています。庭は遊びの場でも。
パビリオン3

2mの高さにもなるパビリオンの廻りには、高いめの木、ソヨゴ・アオダモ・サルスベリ他を植え、道路から見て威圧感がないようにしています。パビリオンと板塀は直線でラップさせ丸太の柵で軽く繋ぎました。道路との仕切りは、御影と黒御影のピンコロと延べ石で。
ガレージ付近

ガレージは予算の都合でコンクリート仕上げだったのですが、「何とかして欲しい」というお客様の願いを叶えるべく「パッチワーク」仕上げの土間が出来上がりました。当社の資材置き場の残りモノで何とかしようという考えで、600角のブラッドストーンをベースに6,7種類のレンガと2種類の玉石をパッチワーク(寄せ集めもの)したらこんな味のある土間ができあがりました。どんなモノでも捨てるモノはない。カタログ的な使い方を捨て、パッチワーク技法?を使えば、面白いものができるはずです。
植栽

お客様の強い希望で"染井吉野"がこの庭の主木です。この桜を庭のどこに植えるか、部屋からどう見えるかが、植栽の中で一番重要なことでした。従って、工事はこの桜を植えることから始まり「桜の花咲く頃にはなんとか」というお客様の要望で、桜の蕾と競いながら工事を進めました。水の景付近にはモミジの株立ちと椿、ジューンベリー他の高木を。パビリオンの外付近にはリュウゼツランやニューサイラン他の個性的なテクスチャーのあるモノを中心に植えています。
detail - ディテール -
鍾馗様
パビリオン芯柱の頂上付きには、厄払いの鍾馗を据えて、家内安全を。
書
敷地の角取りの壁には、流木の「書」を飾りました。外側は、酒と庭に酔うという意味を込め「酔」を、庭側には人とモノが集まるという意味で「集」を。
バリ島の石人とレリーフ
アジアンな雰囲気を出すために、植栽の中に石人を、壁の中にはレリーフを入れました。和の雰囲気とも合うようにバリ風さを抑えたものにしています。
目隠しウッドフェンスと仕切り垣
隣地との目隠しには、ルーバ状に板を張ったウッドフェンスを道路際は、車と人の往来に注意できるスッキリした仕切り垣を。
![]() 廻りの風景にも溶け込んで | ![]() 厳しい天候の中で作業 |
作庭後記
雪の降る3月上旬に始まったこの庭造りは雪とみぞれと雨と風という北陸の厳しい天候と戦いながらも、お客様との十分な打ち合わせとプランの練りこみによっていろいろなモノを盛り込みながらも、スッキリと出来上がったと思います。桜の咲く頃にはなんとか完成し、工事の思い出を語らいながら、お客様から「よく私の思いを形にして下さいました。」という言葉をいただき、遣り遂げた充実感と庭が私たちの手から離れる淋しさを感じました。









