晩秋の奥深い吉野
2度目は、金峰山寺蔵王堂の6mもある巨大な室町時代の三体の蔵王権現像の特別御開帳に合わせて訪れましたが、その時には、山上駐車場に車を停めてそこから蔵王堂まで徒歩でした。
その時も、櫻の季節の大混雑ではありませんが、たくさんの人が訪れていました。
今回の3度目は12月の小雨の降りしきる晩秋で、人がいません。ほとんどいません。寂しい奥深さを感じさせてくれる吉野でした。
だからお目当てのお寺まで車で行きました。細い道もすれ違う車もほとんどない状態です。
金峰山寺だけではなく弘願寺・吉水神社・東南院・喜蔵寺・竹林院・吉野水分神社などたくさん神社仏閣があるのに驚きます。
如意輪寺は運慶の高弟の源慶の桜の一木造りの重文蔵王権現像を拝観するために以前訪れたことがあります。後醍醐天皇の勅願寺です。
今回は、櫻本坊(さくらもとぼう)と大日寺を訪れました。
車を停めて坂道を下っていきます。
左側は通行止めです。
大日寺本堂です。ここに藤原時代の五体揃った五智如来が安置されています。
間近で拝観というわけには行かなかったのですが、良く見えることは見ることが出来ました。
拝観者は私達だけで、お寺の人がずっとそこに立っていたので、寒い中あんまり長く居ると申し訳ないので適当に後にしました。
拝観料は統一されていてお山のお寺は400円でした。
それから櫻本坊に向かいました。
本堂
ここに5月~9月にかけて行者さんたちが泊まりにこられるそうです。
ここのおばさんがとても親切で、いろんなことを話をしてくれました。
そして、本堂は入り口は勝手に開きますので、ご自由に見ていってくださいと声を掛けてくださり、間近にゆっくりと役行者像2体を拝観させていただきました。
重文の役行者坐像は木造、彩色、91.5㎝で櫻本坊の本尊。太り気味にあらわされているのが他と比べて異色である。頭・体および両体側を含んでカヤの一木造で、内刳りは施していない。
自然な肉付けと自在な衣文表現で鎌倉末期から南北朝に掛かる頃の作と思われる。
もう一体、何かの特別展で見た役行者像があります。ガラスもなく手が触れられるほどの間近でゆっくりとみることができました。
ガラスがないので玉眼の真髄が体験できました。まるで本当に役行者と対峙しているようです。薄暗い本堂で拝観者は私たちだけで、まるでタイムスリップしたみたいでした。
広間は、たくさんの人が泊まるそうです。トイレもたくさんあり、ウォッシュレットでとても綺麗に掃除が行き届いていました。
去年はすごい雪が降り全然身動きできなかった。こんな雪は久しぶりでじっとしているしかなかったといわれていました。
重文の地蔵菩薩像と鋳造の釈迦如来像は今回拝観は出来ませんでしたが、来年五月頃には全部揃って拝観できるので是非いらしてくださいと言ってくださいました。
階下のトイレの前から見た紅葉。山が深くて綺麗で京都とは違う趣がありました。
櫻の頃は大勢の人が押し寄せて賑やかな吉野ですが、この季節は寂しく、お宿も営業はしていないようで、ひっとりとして、住むにはなかなか厳しい環境です。
山なので、雪が降ると身動きがとれなくなります。
この日は、住んでいる人に心を寄せる吉野でした。